- 遺言相続
Q.遺産分割協議がもめる原因と対策
遺産分割協議がもめる原因は、何でしょうか?
私の経験上、遺産分割協議がもめる主な原因は、次の3つです。
①認知証の症状(虚言等)への不理解
②遺産の内容が不明確
③不動産がある
①認知症への症状(虚言等)への不理解
これは、例えば、兄が母親の介護をしていて、久しぶりに様子を見に来た弟が、母親から、「兄がお金を取る。食事をくれない。」と聞いて、それを信じ込んでしまうようなケースです。極端な場合には、弟が母親を兄の家から連れだして、そのまま兄に会わせず、母親の葬儀にも呼ばないようなケースもあります。そのような状態での遺産分割協議は非常に難航します。
対策としては、普段から介護の状況を知らせておくことはもちろんですが、それ以外には、任意後見制度、成年後見制度の利用が有効です。
・任意後見制度とは、自分の判断能力がなくなった場合に財産管理を行う人(後見人)を事前に選んでおく制度です。
・成年後見制度とは、本人の判断能力がなくなった場合に、4親等内の親族が申し立てて、財産を管理する人(後見人)を裁判所に選んでもらう制度です。
②遺産の内容が不明確
これは、例えば、前の相続の時に何もしていないような場合や、相続登記をしていない不動産があるような場合です。
三田市、丹波篠山市、丹波市等の地方都市では、都市部とは違い、相続が発生しても相続登記をしていない不動産や、祖父母やその前の代の名義のままの不動産がよくあります。
また、父親の遺産分割をしないままに、母親が亡くなったような場合には、父親の遺産の内容がわからなくなっており、相続人間の不信感が大きくなり、遺産分割協議がもめがちです。
対策としては、たとえ費用がかかっても、相続登記をしたり、相続が発生する度に遺産分割協議をして、相続手続を一つ一つ終了させておくことが大切です。
③不動産がある
不動産があるだけで遺産分割協議がもめるというのは極端な意見だと思われるかもしれません。しかし、不動産は、固定資産税評価額、相続税申告時の価格、時価(不動産業者の査定額、不動産鑑定士の鑑定額)と様々な基準があり、価格さえ一定ではありません。また、現金、保険金で欲しい相続人がほとんどであり、田畑の不動産を欲しがる人は少ないのが現状です。
不動産があれば遺産分割協議はもめやすいと認識して、対策を考えておくことをお勧めいたします。
対策としては、遺言書の作成、遺産分割の代償金を予め保険金で用意しておくこと等が有効です。