- 交通事故
Q.人損の交通事故証明書が必要か?
交通事故の法律相談で、「事故後しばらくしてから首が痛くなったので、物損の事故証明書を人身事故に切り替えに行ったが、警察に断られました。どうすればいいでしょうか?」との質問を受けることがあります。
交通事故証明書とは、自動車安全運転センターが発行する、「交通事故に関し、その発生した日時、場所その他内閣府令で定める事項を記載した書面」(自動車安全運転センター法29条1項5号)です。自動車安全センターのウェブサイト、郵送でも申請できますが、一番早く交通事故証明書を取得できるのは、自動車安全運転センターの窓口申請です。手続きの詳細は、自動車安全運転センターのHPを参照ください。
交通事故証明書の右下に、物損(物的損害)のみの事故であれば、「物件事故」と記載され、人損(人的損害)のある事故であれば、「人身事故」と記載されます(下の交通事故証明書サンプルの赤丸参照)。
警察は、いったん物件事故で処理してから一定期間が経過した後に人身事故に切り替えるのを避けるときがあります。そこで、その対応に困って相談に来られる方がおられます。
結論としては、事故の相手方が任意保険に加入しており、受傷の事実に争いがない場合には、交通事故証明書を人身事故に切り替えることにこだわる必要はありません。交通事故証明書が物件事故のままであっても、受傷の事実に争いがなければ、任意保険は保険金の支払いに応じます。ただし、人身事故入手不能理由書を求められることもあります。
もし、受傷の事実に争いが生じそうな場合には、交通事故で怪我をした人は人身事故の届出をするのが通常であるので、やはり人身事故に切り替えておいた方が受傷の事実の立証上安全です。
また、交通事故証明書の甲欄、乙欄について、甲欄の方が過失が大きいと心配される方もおられます。しかし、甲欄、乙欄は、警察が話しを聞いた順番というだけであり、過失の大小とは無関係です。